新婦の母 シズカさん(公務員)
新婦 マミさん(会社員)
新郎 サトシさん(レストラン経営)
*3カ月前に関東エリアのゲストハウスで挙式
花嫁の母であるシズカさんとワタクシはもともとあるサークルの仲間。マミさんの結婚が決まった際はご新郎のサトシさんを囲んでお食事をするなどご家族ぐるみのお付き合いです。結婚式当日、シズカさんのSNSに輝くばかりに美しいマミさんの花嫁姿がアップされているのを見て、安心していたのですが…
挙式から3カ月後のある夜。シズカさんから突然、電話がかかってきました。「梅沢さん、相談に乗って欲しいの」
事の発端は結婚式の前日。マミさんと最終チェックをしていたシズカさんは「そう言えば、着付けに関してなにも連絡がきてないわね…」と気づきました。
シズカさんとサトシさんのお母さまは和装で結婚式にご列席。その他にも親戚の何人かはきものを着る予定です。着付けは挙式するゲストハウスに予約。通常ならば数日前に、持ち物や予約時間の確認がくるはずなのですが…。不信に思ったシズカさんがサトシさんのお母さまに電話したところ、そちらにも連絡はないとのこと。
もしかして?と思った二人は結婚式を挙げるゲストハウスに電話。担当プランナーに「明日の着付けの件なのですが…」と話したところ「着付けの予約はいただいておりません」との答えにビックリ!
プランナー曰く「発注書がまわってきていないので、予約は入っていない」とのこと。けれどマミさんは打ち合わせの際にこのプランナーに口頭で「両家の母親と親戚◯名の着付け」と確かにお願いしているのです。その旨を伝えると「着付けは美容室の担当なので、そちらからの発注書が必要」「発注書がないのでこちらではお受けしていない」との一点張り。しばらく押し問答をしましたが、埒があかないので「明日の着付けは無理なのですか?」と聞くと「美容室から連絡させます」と。
約1時間後、美容室から連絡がありどうにか着付けの予約はできたのですが、プランナーは自分の非を認めることはおろか、謝罪の一言もなかったとマミさんとシズカさんカンカンです。
そして翌日、挙式会場に到着したマミさんとシズカさん。前日の着付けのこともあり、プランナーがどう出迎えるのだろうかと思っていたところ、二人の顔を見るやコソコソ逃げるように隠れたそう! これには日ごろ穏やかなシズカさんの堪忍袋もドカンです!!!
結婚式当日に花嫁の母がプランナーを怒鳴りつける…なんとも幸先の悪いスタートとなってしまいました。
その後、プランナーの上司(男性)が出てきて一応の謝罪はあったのですが「予約に関してはお客さまの発注書ミスもあり…」との言葉にさらに激怒! 後日、改めて謝罪をとのことでどうにか結婚式はおひらきとなりました。
ただ、まだまだ事は収まらなかったのです。
挙式の翌日/プランナーの上司からマミさんに電話。予約ミスのお詫びに結婚式の写真を入れたフォトフレームをプレゼントしたい。制作に約1カ月かかるからその頃にまた連絡をするとの話。プランナーからの謝罪がない旨を伝えると、上司である自分が担当するの一点張り。上司からも明確に「自分たちのミスで予約が入っていなかった」との言葉はもらえず、不信感は募るばかり。
約1カ月後/連絡をすると言ったきり音沙汰がなし。
約2カ月後/連絡がないのでシズカさんが電話。上司が不在とのことなので、プランナーを出せというとこちらも不在。お詫びのフォトフレームは?との問い合わせにも「調べて折り返しします」とのこと。
その数日後/上司からシズカさんに電話。フォトフレームの「発注がされていなかったのであと2週間待って欲しい」との言葉にびっくり! 「謝罪もないし、プランナーも雲隠れだし、フォトフレームは放置されているし、どういうこと?!」との問いに「こちらも善処しております」とトンチンカンな答え。
その2週間後/支配人を名乗る男性から電話。「申し訳ありませんでした」の言葉とともに、フォトフレームをご自宅まで届けてお詫びしたいとのこと。その週の週末に訪問すると決めて電話を切る。
週末/上司がフォトフレームを持って訪問。マミさんとシズカさんが対応。ペコリと頭を下げてフォトフレームを置いてそそくさと帰ろうとした態度に、二人ともまた激怒。「なぜプランナーが謝りに来ないのか?」との問いに「彼女は関係ありませんから」とまたしてもノラリクラリ。「こんなフォトフレームなんか貰っても謝罪にならない!」「本人が謝りに来い!」と上司を帰す。
翌日/支配人から電話。「改めてお詫びを」と翌週の訪問を約束。「この支配人だけはまとも」とシズカさんの弁。
翌週/支配人と上司が訪問。シズカさん、マミさん、自宅にいたサトシさんが対応。「プランナーはなぜ謝りに来ないのですか?」との問いに「彼女はこの件から担当が外れました」と支配人。お詫びとして受け取って欲しいとフォトフレームの他に封筒を差し出す(中身は明らかにお金)。それを見たシズカさん、マミさんはまたしても激怒! 「私たちはこんなものを要求するつもりはない」「プランナーさんが発注ミスを認めて、謝ってくれさえすればいい」と平行線のまま。
支配人と上司が帰った後…サトシさんが「もういいじゃん。お詫びなんだから封筒(お金)を受け取って終わりにしようよ」。それを聞いてシズカさん、マミさんは「はぁ?!(怒)」
途中経過を耳にしていたとはいえ、サトシさんはシズカさんとマミさんが男性2人を前にギャンギャンとがなり立てる姿を目にして唖然。「たかが予約のミスぐらいでいいじゃないか」「当日、ちゃんと着付けができたんだろう」とまるっきり自分は蚊帳の外です。しかも「お詫びのお金なんだから受け取っておけよ」と。
シズカさんとマミさんは、プランナーに自分の過ちを認めて素直に謝って欲しかった。ただそれだけなのです。
けれど、プランナー本人はおろか、その上司まで自分たちのミスを認めずに表面的にどうにか収めようと考えている。その態度が二人は気に入らない、ただそれだけ。お詫びの品はおろか、お金をもらうなんて望んではいません。
このことが発端となってサトシさんとマミさん(+シズカさん)は大げんか。
「あなたがそんな情けない人だと思わなかった。男らしく対応してくれないばかりか、お金に対して意地汚い」
「君は感情的すぎる。こんな些細なことどうでもいい。早く終らせろ。つきあいきれない」
「私たちの大切な結婚式が大変なことになるところだったのになぜ理解してくれないのか。ミスをしたプランナーが謝りもしないのはおかしい」
「実際には問題は起こらなかった。いつまでもグジグジとクレームをつけるのはどうなんだ」
「クレームとはどういうこと?! 私は正しいことを言っているだけ!!!」…
口論が続き、マミさんは実家であるシズカさんの家に帰ってきてしまいました。
そしてお互いに「あんな人だとは思わなかった」「離婚したい」とまで言っています。
ここまでが、シズカさんの電話の内容です。
さて、このケース。どうしたらいいのでしょうか…?
もしあなただったらどうしますか…?
*このコラムは実際のご相談に基づいておりますが、プライベートに配慮し名前や職業等の個人情報、一部の内容に関してはフィクションになっております。